調査・研究の概要

住環境と住宅地の価値

経済社会の成熟化に伴い、人の側からの視点である「住環境」・「まちなみ景観」・「防災」・「健康」などの側面に益々大きな関心が払われるようになってきています。これは、平成18年6月8日に公布・施行された住生活基本法が、その基本理念の2つ目に「良好な居住環境の形成」を掲げていることにも表れています。また、政府は「200年住宅ビジョン」を提唱していますが、個々の不動産は周辺環境と独立して存在するものではないため、良好な住環境の形成・維持は重要なテーマでしょう。
住宅地価格の形成においても、街路や生活利便施設といった基礎的な環境の整備状況から、ボンエルフ道路(1970年代にオランダのデルフトという街で初めて導入された手法で、道路のなかに車のスピードを抑制する工夫を施すことによって歩行者の安全を確保し、あわせて景観の向上を図ろうとするものです。日本語では「歩車共存道路」などと訳されます。)、コモンスペース、外溝・屋根等の統一感、電線・アンテナの地下埋設化、共有道路・広場の維持管理体制等、消費者の視点に立ったより高次な住環境が重視されるようになってきています。
このような認識から、弊社では約10年前にグリーンタウン高尾(東京都八王子市)・高坂ニュータウン(埼玉県東松山市)など全国8団地において、住環境が住宅地価格の形成にどの程度寄与しているかを不動産の鑑定評価の手法を用いて定量的に把握する調査を行いました。また、上記2団地については、平成19年~20年に掛けて追跡調査を実施し、データの蓄積に努めています。

編集者:不動産鑑定士 後藤 計

調査の概要

icon-chevron-up このページの先頭へもどる